「育休制度」「育休手当」、会社の説明もネットの説明も、妊娠中や出産後の忙しいママには、難しすぎてなかなか理解できないことも多いのではないでしょうか?
そんなママたちのために、とってもわかりやすくてかんたんに読める「育休制度」「育休手当」についての説明を、ママ目線で書いてみました。
会社では教えてくれない育休手当の制度をフルに使い倒して、損せずに育休手当を最大限もらうための知識も掲載!
なるべく難しい用語を避けて書いているので、正式名称を使っていないことが多いです。そこはご注意くださいね。
育休手当(育児休業給付金)基本情報
育休手当(育児休業給付金)とは、働く人が育休を取りやすいよう、また育休後の職場復帰を促進することを目的として、雇用保険(ハローワーク)から手当がもらえる制度です。育休中で、休む前と同じくらいの給料がもらえない労働者に対して支給されるものになります。
支給される条件は?
育休手当がもらえるのは、法的に育休を取る労働者で、パパでもママでももらえます。法的にというのは「育児介護休業法」という法律があって、そこでどんな人が育休をとれるか決められているんです。
自営業や会社役員は、会社や自分で決めた育児のためのお休みをとることはできても、法的な育休はとれないので、育休手当はもらえません。逆に、契約社員やパートでも、法的な育休が取れればもらうことができます。ただしもらうためには、下記の条件が必要です。
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雇用保険に加入し、保険料を支払っている
私雇用保険入っている?という方へ。雇用保険の手続きは会社が行なっており、自分の保険料は給与から天引きされています。
契約社員やパートでも31日以上の継続雇用、1週間あたりの所定労働時間が20時間以上であれば加入できるので、給与明細をみてみてくださいね!
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育休後、退職予定がない
育休後の退職予定でも、退職の意向は育休終了日が退職日になるように直前に会社に伝えましょう。(退職届けの期日は就業規則を確認しましょう。)退職届けを提出すると、以降の育休手当は出ませんが、それまでもらっていた手当を返金する必要はないのです。
ここは、マナーや会社で後から育休をとるママたちへの影響もあると思うので、一概には判断できないと思いますが、よく考えてから決めたいところですね。
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育休中の就業日数が各1カ月に10日以下、また、育休中に休業開始前の1カ月の賃金の8割以上が支払われていない
育休は基本的には働かないことが想定されていますが、会社と労働者が話し合った上で、一時的、臨時的に働くことはできます。(労働者の合意が必要で、会社の一方的な指示では働けません。)その場合、上記の条件よりも働いてしまうと育休手当は満額出なくなってしまいます。
会社が副業を禁止していない場合、副業やバイトをすることも可能です。育休は基本的には働かないことが前提ですが、多様な人生がある中で、育休中に新しいチャレンジやスキルアップを目指すのは悪いことではないと思います。ただし、副業も上記の条件と同様に働きすぎると育休手当は満額うけとれません。
副業で得られる経験も大切なので一概には言えませんが、よく検討したいところ。
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育休前の2年間で11日以上働いた月が12カ月以上
結論から言うと、「新卒」「転職」でも場合によっては育休手当が出る場合もあります。また2人目の手当は条件が「育休前4年間」になるので、受け取れる可能性が高いです。
支給期間はいつからいつまで?
育休手当は、条件によりもらえる期間が変わってきますが、基本的には子どもの1歳の誕生日の前日までとなります。ママの場合、産休期間(出産の翌日から8週間)は含まれず、そのあとの育休期間で給料をもらっていない期間に対して支給される手当です。パパの場合は出産当日から育休期間に入ります。
ただし、以下の場合は1年間を超えて支給されます。
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認可保育園の空きがなく育休延長する場合は、最長で子どもの2歳の誕生日の前日まで
1歳/1歳6ヵ月時に、市区町村が発行した保育園に入れなかったことを証明できる書類をハローワークに申請すれば手当も延長されます。
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パパママともに育休取得の場合は子どもが1歳2か月になる前日まで。
パパママ育休プラス制度の取得には条件があるのでよく確認してください。そして、手当がもらえる期間は、パパママそれぞれ1年間なのでご注意。
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子どもの主な養育者がいずれかの理由で養育できなくなった場合は子が2歳になる前日まで
子どもを普段から育てていて、子どもが1歳6ヵ月を過ぎてからも育てる予定であった配偶者が、下記いずれかの理由で子どもを育てることができなくなった場合は、最大2歳まで育休手当の期間を延長できます。
・死亡したとき
・負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により養育が困難なとき
・離婚等の理由で配偶者が子と同居しないことになったとき
・下の子を6週間以内に出産する予定、もしくは産後8週間を経過しないとき
申請方法は?
育休がスタートしてから申請手続きをおこないます。一般的には、パパママが必要書類を会社に提出し、会社がハローワークに申請して手続きをするケースが多いです。希望すれば、会社を通さずにパパママ本人が支給申請の手続きをすることも可能です。
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①会社からハローワークに受給資格確認申請+初回の支給申請
※申請期間
育休開始日(女性は産後休業後、男性は出産日)から2ヵ月後〜4ヶ月を過ぎた月の末日まで
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②育児休業給付金支給決定通知書(被保険者通知用)が会社から送られてくる
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③支給決定日から約1週間後に指定の金融機関に振り込み(初回分)
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④以後、2か月ごとに会社からハローワークに支給申請
本人が希望すれば1ヶ月ごとの支給も可能
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⑤
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育休終了に伴い、支給終了
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①の申請に必要な書類
1)育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書
基本的には会社で書いてもらえます。受給者本人の記載部分は、下段にある受け取る人の署名捺印、振込先口座部分です。「金融機関確認印」欄は、銀行窓口に行って確認印をもらいます。(窓口で“口座の確認印がほしい”と伝えるとすぐくれます)
2)休業開始時賃金月額証明書
基本的には会社で書いてもらえます。2枚目の「休業等を開始した者の確認印又は自筆による署名」欄に捺印が必要です。
その他添付書類として
・母子健康手帳や住民記載事項証明等の育児休業の事実がわかる書類
・受取口座の通帳の写し。上記の1)で確認印がない場合等に必要。
等を求められることがあります。
支給金額は?
支給金額は、育休中の時期によって変わります。
- 育休開始~180日までは育休前の月額賃金の67%
- 181日~子どもが1歳になるまでは育休前の月額賃金の50%
育休前の月額賃金は、正確には育休前(産前産後休業をとった人はそれより前)6ヵ月間の平均月額賃金になります。(ボーナス等の臨時給与は除く)
ただし、この計算の元となる月額賃金には上限456,300円、下限77,220円が定められています。つまりどんなにたくさん給与をもらっていても
- 育休開始〜6ヵ月間:456,300円×67%=305,721円
- 6ヵ月以降:456,300円×50%=228,150円
までしかもらえません。
育休中は、今まで支払っていた社会保険料は免除され、給付金は非課税なので、手取りで考えると育休前の80%程度もらえる計算になる方が多いようです。(上限〜下限内の給与の場合)
支給金額を最大限増やしたいという方、産休前6ヵ月間の平均月額賃金をあげることが必要です。自分の体と相談しながら産休前のラストスパートの気持ちで頑張りましょう。
ただし、賃金を集計する6ヶ月には産休開始月および賃金締切期間内で11日以上勤務がない月は除かれるので、産休開始月は無理しなくてOK。
また万が一切迫早産やつわりで長期間休業が必要だけど、平均月額を下げたくない場合は、賃金締切期間内の勤務日が11日未満になるように調整すればその月は除れます。
支給日は?どこからどこに振り込まれる?
そもそも育休手当の申請は育休が始まってから2ヵ月経たないとハローワークに申請できません。手当の性質上、育休期間に「働いておらず給与をもらっていない」ことの証明と共に申請をする必要があるので、育休開始後2ヵ月経ってからの申請になります。
さらに、申請して支給が決定した日から1週間程度で指定した口座に振込がされます。支給日については、会社から送られてくる育児休業給付金支給決定通知書を確認して下さい。振込元は「シヨクギヨウアンテイキヨク」になります。
つまり、会社が申請可能な日に処理してくれたとしたら、下記の図のようなスケジュール感になります。会社の申請処理のタイミングによっては、さらに遅れることもあるので、振込は育休開始から2〜3ヵ月、出産からは4〜5ヵ月と考えておいたほうがよさそうです。
もし振込がされなくて、 通知書を持っていない場合は、会社にハローワークへ申請をしているか確認しましょう申請している場合、ハローワークから通知書が届いていないか確認してください。申請しているが通知書が届いていない場合は、会社を管轄するハローワークで審査中の可能性があるので、会社を管轄するハローワークに行って問い合わせが必要です。(電話でのお問い合わせはできません)
出産日や休業前の給与を入力すると、支給額や支給タイミングが計算できるサイトもありますので、是非利用してみてください。
厚生労働省委託 母性健康管理サイト 女性にやさしい職場づくりナビ
https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/leave/leave2.html
こんな場合どうなる?
男性の育休取得の場合
基本的には女性の育休手当と同じですが、男性の場合は出産当日から育休期間に入ります。終了日は女性と同じく子どもが1歳になる前日まで。支給額も6ヵ月までは67%、それ以降は50%になります。
育休中に2人目を妊娠した場合
育休手当は、第二子の産休が始まった時点で支給がなくなります。産休が始まると同時に育休が終わるからです。
なお、産後休業は必ず取得する必要があるので、産後休業は申請しなくても自動的に適用となり、その時点で第一子の育休も育児休業給付金の支給も終了となります。
2人目の育休手当は、1人目と同じように受け取れます。育休手当を受け取る条件であった「育児休業開始前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月が12ヵ月以上あること」については、連続して育休を取得する場合などやむを得ない理由があるときは、「育児休業開始前2年間」が「最長4年間」まで緩和されます。
3人連続育休の場合は給付金受け取れる?
連続して育休を取得するケースでは、1人目と2人目の産休・育休期間と合計して、3人目の育休に入るまでの、4年以内に就労した完全月が12ヵ月以上あれば受給することができますが、それに満たない場合は育休手当を受け取ることができません。
例えば、1人目と2人目の間に復帰して働いている、1人目と2人目は連続して育休を取得したけれど、2人目を出産したあとに復帰して、3人目の育休を取得する、お子さんが3人とも年子の場合、などの場合は受給できる可能性もあるので、会社やハローワークに確認してみてください。
まとめ
今回は、難しい「育休手当」がかんたんに理解できる説明をママ目線で書いてみました。
支給金額をUPする方法、育休中に2人目妊娠しても育休手当をもらい続ける方法など、会社では教えてくれない「育休手当を損せずに最大限もらう方法」がわかったかと思います。
こちらを参考にして、みなさんが有意義な育休が過ごせますように!
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